インボイス制度の帳簿の書き方|記載事項4つと帳簿だけでよい場合・記入例

インボイス制度の帳簿の書き方|記載事項4つと帳簿だけでよい場合・記入例 請求書・会計
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イメージ写真:Studio.Stock

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更新日:2026-10-19

結論:帳簿には「相手・日付・内容・金額」の4つを書き、インボイスとセットで保存する

  • 仕入税額控除を受けるには、原則として「帳簿」と「インボイスなどの請求書等」の両方を保存します
  • 帳簿に書くのは、相手の名前/取引した日/取引の内容(軽減税率ならその旨)/支払った金額(税込)の4つ。相手の登録番号は書かなくてかまいません
  • 3万円未満の電車代などは、帳簿だけの保存で認められます。この場合は「特例に当たる旨」を書き足します
  • 帳簿は7年間保存します。自分のケースで迷ったら、国税庁の情報を確認するか、税務署・税理士に相談しましょう

ひとことで言うと

帳簿は、お金の出入りを記録するノートや会計ソフトのデータのことです。

インボイス制度でも、帳簿に書くことは「だれに・いつ・何を・いくら」の4つです。

電車代など一部の支払いは、帳簿だけでよいとされています。そのときは「どの特例に当たるか」も書きます。

この記事の信頼性

情報源
国税庁 タックスアンサー(No.6496・No.6497・No.6621)、インボイス制度に関するQ&A(問43・105・109・110・111・113)
情報の確認日
2026-10-19
掲載方針
国税庁が公表している内容だけをまとめています。税金の個別の判断は扱いません

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目次(14項目)
  1. そもそも、なぜ帳簿が大事なの?
  2. 帳簿に書く4つの項目は?
  3. 帳簿だけの保存でよいのは、どんなとき?
  4. 帳簿だけで済ませるとき、何を書き足すの?
  5. 1万円未満なら帳簿だけでよい「少額特例」とは?
  6. 登録していない相手から仕入れたときは?
  7. 記入例:小さな事業者の帳簿(説明用の例)
  8. 帳簿はいつまで保存する?
  9. よくあるミスは?
  10. 帳簿づけにクラウド会計ソフトを使うなら
  11. 請求書づくりもあわせて見直すなら
  12. よくある質問(FAQ)
  13. 情報源
  14. 広告表示について

そもそも、なぜ帳簿が大事なの?

消費税を計算するとき、仕入れや経費で払った消費税を差し引けます。これを「仕入税額控除(しいれぜいがくこうじょ)」といいます。

国税庁のタックスアンサーNo.6496によると、仕入税額控除を受けるには、次の2つの両方を保存する必要があります。

  • 取引の内容を書いた帳簿
  • 取引を証明する請求書等(インボイスなど)

つまり、インボイスを受け取っても、帳簿がなければ控除は受けられません。反対に、帳簿だけでよいのは、あとで説明する一部の取引に限られます。

言葉のメモ:

  • 仕入税額控除:売上で預かった消費税から、仕入れや経費で払った消費税を差し引くしくみです。
  • インボイス(適格請求書):登録した事業者だけが出せる、決められた項目を書いた請求書です。書き方はインボイスの請求書の書き方にまとめています。
  • 課税仕入れ:消費税がかかる仕入れや経費のことです。

帳簿に書く4つの項目は?

国税庁のQ&A(問109)とタックスアンサーNo.6497では、帳簿に書く項目は次の4つとされています。

No. 書く項目 書き方のポイント
① 仕入れの相手の氏名または名称 「株式会社○○」など。取引先コードでの表示もかまいません
② 仕入れをした年月日 電気代のように月ごとにまとめて請求されるものは「○月分」でもかまいません
③ 仕入れた物やサービスの内容 軽減税率(8%)の品目なら、その旨も書きます。「※」などの記号でもかまいません
④ 支払った金額 消費税をふくんだ金額(税込)を書きます

この表の見方:①〜④の4つが、すべてそろっている必要があります。右の列は、国税庁が示している書き方のコツです。

国税庁のQ&A(問109)では、この4項目は、インボイス制度の前(区分記載請求書等保存方式)の帳簿と同じとされています。また、相手の登録番号を帳簿に書く必要はない、と明記されています。

言葉のメモ:

  • 軽減税率:飲食料品など、一部の品目にだけ使われる低いほうの消費税率(8%)です。
  • 登録番号:インボイスを出せる事業者に通知される「T+13桁」の番号です。

書き方をゆるめてよい場面

タックスアンサーNo.6497では、次のような書き方も認められています。

  • 内容は、商品の一般的な呼び名でまとめてよい(例:青果店なら「野菜」「果実」)
  • 経費で文房具と雑貨をまとめて買ったときは、「文房具ほか」「文房具等」でもよい
  • 相手の名前は、取引先名簿などで相手が特定できるなら「鈴木商店」のような略称でもよい
  • 同じ商品を何回も買っていて、請求書に明細があるときは、日付を「○月分」、金額をその合計で書いてもよい

ただし、課税の商品と非課税の商品、10%と8%の商品が混ざっているときは、分けて書く必要があります。

帳簿だけの保存でよいのは、どんなとき?

請求書等をもらうのが難しい取引は、帳簿だけの保存で仕入税額控除が認められます。タックスアンサーNo.6496とQ&A(問110)にある取引は、次のとおりです。

No. 帳簿だけでよい取引 身近な例
① 税込3万円未満の公共交通機関(電車・バスなど)の運賃 取引先へ行くときの電車代
② 入場券などで、使うときに回収されるもの(①を除く) 施設の入場券
③〜⑤ 古物商・質屋・宅地建物取引業者が、登録していない人から買う古物・質物・建物(棚卸資産に限る) 中古品の買い取り
⑥ 届出をした特定金属くず買受業者が、登録していない人から買う特定金属くず(2026年9月1日以後の取引) 金属くずの買い取り
⑦ 登録していない人から買う再生資源・再生部品(購入者の棚卸資産に限る) 資源の買い取り
⑧ 税込3万円未満の自動販売機・自動サービス機からの購入など 自販機の飲み物
⑨ 郵便切手だけで支払い、郵便ポストに出した郵便・貨物サービス ポストに出した郵便
⑩ 従業員などに払う、通常必要と認められる出張旅費・宿泊費・日当・通勤手当 社員の出張旅費

この表の見方:左の番号は、国税庁の資料の番号と同じです。多くのフリーランスや小さな会社に関係しやすいのは、①(電車代)、⑧(自販機)、⑨(ポストに出した郵便)あたりでしょう。

「3万円未満」かどうかは、1回の取引の税込金額で判断します(Q&A 問43)。切符1枚ごとの金額や、1か月分の合計で判断するのではありません。たとえば国税庁の例では、1人13,000円の新幹線を4人分買うと52,000円になり、3万円以上として扱われます。

3万円以上の電車代は、原則としてインボイスの保存が必要です(Q&A 問105)。ただし、鉄道会社から決められた項目が書かれた乗車券を受け取り、その乗車券が回収される場合は、帳簿だけでよいとされています。

帳簿だけで済ませるとき、何を書き足すの?

帳簿だけの保存にする場合は、ふつうの4項目に加えて、次の2つを書きます(タックスアンサーNo.6497、Q&A 問110)。

書き足す項目 国税庁の記載例・ポイント
帳簿だけでよい取引のどれに当たるか ①の電車代なら「3万円未満の鉄道料金」、⑧の自販機なら「自販機」「ATM」
仕入れの相手の住所または所在地 ②の入場券(3万円以上)なら「○○施設 入場券」。ただし、多くの取引では書かなくてよい

この表の見方:上の行は、帳簿だけで済ませるときは毎回必要です。下の行(住所)は、次の取引なら書かなくてかまいません。

住所や所在地を書かなくてよい取引(Q&A 問110)は、次のとおりです。

  • ①の電車・バスなどの運賃(3万円未満)
  • ②の入場券などのうち、3万円未満のもの
  • ③〜⑦の買い取り(ほかの法律で相手の住所などを記録することになっているものなど、一部を除く)
  • ⑧の自販機など、⑨の郵便、⑩の出張旅費など

1万円未満なら帳簿だけでよい「少額特例」とは?

上の10種類とは別に、一定の規模以下の事業者向けの経過措置があります。国税庁のQ&A(問111)では「少額特例」と呼ばれています。

条件 内容
対象の事業者 基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下
対象の期間 2023年10月1日から2029年9月30日までの仕入れ
対象の仕入れ 1回の支払いが税込1万円未満のもの(登録していない相手からの仕入れもふくむ)
保存するもの 一定の事項が書かれた帳簿だけ

この表の見方:上から順に、すべての条件に当てはまると、インボイスがなくても帳簿だけで控除できます。

この少額特例では、帳簿に「少額特例の適用がある旨」を書く必要はない、とQ&A(問111)に書かれています。ここが、上の10種類(「3万円未満の鉄道料金」などと書き足す)との違いです。

言葉のメモ:

  • 基準期間:個人ならその年の前々年、法人ならその事業年度の前々事業年度のことです。
  • 特定期間:個人なら前年の1月1日〜6月30日、法人なら前事業年度の最初の6か月のことです。
  • 課税売上高:消費税がかかる売上の合計です。

登録していない相手から仕入れたときは?

免税事業者など、インボイスを出せない相手からの仕入れは、原則として仕入税額控除ができません。ただし、一定の期間は、仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置があります(Q&A 問113)。

期間 控除できる割合
2023年10月1日〜2026年9月30日 80%
2026年10月1日〜2028年9月30日 70%
2028年10月1日〜2030年9月30日 50%
2030年10月1日〜2031年9月30日 30%

この表の見方:仕入れをした日がどの期間に入るかで、割合が決まります。2026年10月19日時点では、70%の期間です。

この経過措置を使うときは、帳簿の4項目に加えて「経過措置の適用を受ける仕入れである旨」を書きます。Q&A(問113)では、次のような書き方が示されています。

  • 取引ごとに「80%控除対象」「免税事業者からの仕入れ」などと書く
  • 「※」や「☆」などの記号を付け、別の場所に「※は80%控除対象」などと書く

なお、1つの相手からの仕入れが年間で一定の金額を超えると、超えた部分にはこの経過措置を使えません。2026年10月1日以後に始まる課税期間では、税込1億円です。

記入例:小さな事業者の帳簿(説明用の例)

次の表は、書き方を説明するための例です。相手の名前や金額は、すべて作ったものです。

日付 相手 内容 金額(税込) 書き足す項目・保存するもの
2026年10月3日 株式会社○○事務機 事務用品 22,000円 インボイスも保存する
2026年10月7日 ○○食品 お茶菓子 ※ 1,620円 ※は軽減税率対象。インボイスも保存する(少額特例の対象なら帳簿だけでもよい)
2026年10月10日 ○○鉄道 電車代(取引先訪問) 440円 「3万円未満の鉄道料金」と書く。住所は不要
2026年10月15日 △△デザイン事務所 デザイン外注費 33,000円 「免税事業者からの仕入れ」と書く。請求書も保存する

2026年10月3日

相手
株式会社○○事務機
内容
事務用品
金額(税込)
22,000円
書き足す項目・保存するもの
インボイスも保存する

2026年10月7日

相手
○○食品
内容
お茶菓子 ※
金額(税込)
1,620円
書き足す項目・保存するもの
※は軽減税率対象。インボイスも保存する(少額特例の対象なら帳簿だけでもよい)

2026年10月10日

相手
○○鉄道
内容
電車代(取引先訪問)
金額(税込)
440円
書き足す項目・保存するもの
「3万円未満の鉄道料金」と書く。住所は不要

2026年10月15日

相手
△△デザイン事務所
内容
デザイン外注費
金額(税込)
33,000円
書き足す項目・保存するもの
「免税事業者からの仕入れ」と書く。請求書も保存する

この表の見方:左の4列が、どの取引でも書く4項目です。いちばん右の列は、取引の種類ごとに必要になることです。

  • 1行目は、ふつうの仕入れです。帳簿の4項目を書き、受け取ったインボイスも保存します。
  • 2行目は、軽減税率(8%)の品目です。内容に「※」を付け、「※は軽減税率対象」とわかるようにします。
  • 3行目は、帳簿だけでよい電車代です。「3万円未満の鉄道料金」と書き足します。
  • 4行目は、登録していない相手からの仕入れです。経過措置を使うため、その旨を書きます。

4行目のように経過措置を使うときは、相手からもらう請求書にも、区分記載請求書と同じ項目が必要です(Q&A 問113)。

  1. 取引を確認する

    インボイスがあるか、帳簿だけでよい取引か、登録していない相手かを確かめます

  2. 4項目を書く

    相手の名前、日付、内容(軽減税率ならその旨)、税込の金額を書きます

  3. 必要なら書き足す

    帳簿だけで済ませるなら特例に当たる旨、経過措置ならその旨を書きます

  4. 書類を保存する

    受け取ったインボイスなどの請求書等を、帳簿とセットで保存します

帳簿はいつまで保存する?

帳簿を保存する期間
  1. その年(事業年度)の帳簿を締める

  2. ここから数えはじめる

  3. 帳簿を保存する

タックスアンサーNo.6496・No.6621によると、保存期間は次のとおりです。

保存するもの 保存期間
帳簿 帳簿を閉じた日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を過ぎた日から7年間
受け取った請求書等 受け取った日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を過ぎた日から7年間

この表の見方:帳簿も、受け取った請求書等も、7年間の保存が基本です。

  • 仕入税額控除のための保存では、6年目と7年目は、帳簿か請求書等のどちらか一方を保存すればよいとされています(No.6496)。
  • 消費税の確定申告の期限を延ばす特例を使っている法人は、「3か月を過ぎた日から7年間」になります(No.6621)。
  • 記載事項を満たしていれば、商業帳簿や、所得税・法人税の帳簿でもかまわないとされています(No.6621)。

よくあるミスは?

国税庁の資料で取り上げられている点を中心に、間違えやすいところをまとめました。

ありがちなミス 正しい扱い(国税庁の案内)
帳簿に相手の登録番号を書かないといけないと思う 帳簿に相手の登録番号を書く必要はありません(問109)
3万円以上の新幹線代も、帳簿だけで済ませる 3万円以上は、原則としてインボイスの保存が必要です(問105)
4人分の切符を、1人分の金額で「3万円未満」と判断する 1回の取引の税込金額(4人分の合計)で判断します(問43)
帳簿だけで済ませるのに、「3万円未満の鉄道料金」などを書かない 帳簿だけの保存では、特例に当たる旨の記載が必要です(問110)
免税事業者からの仕入れなのに、経過措置の旨を書かない 「免税事業者からの仕入れ」などの記載が必要です(問113)
軽減税率の品目を、ほかの品目と区別せずに書く 軽減税率の品目である旨を書きます。記号を使ってもかまいません(No.6497)
法人税の「帳簿代用書類」があるから帳簿はいらないと思う 帳簿代用書類は、仕入税額控除のための帳簿には当たりません(No.6497)

この表の見方:左がよくあるミス、右が国税庁の案内です。( )の中は、根拠になる国税庁のQ&Aやタックスアンサーの番号です。

帳簿づけにクラウド会計ソフトを使うなら

帳簿は、手書きや表計算ソフトでもつけられます。会計ソフトを使いたい場合は、たとえば次のようなクラウド会計ソフトがあります。料金・機能・インボイス制度への対応は、それぞれの公式サイトで確認してください。



請求書づくりもあわせて見直すなら

帳簿は、受け取ったインボイスとセットで保存します。自分が請求書を出す側のときは、相手が帳簿とインボイスをそろえやすいように、正しいインボイスを出すことも大切です。

よくある質問(FAQ)

Q. インボイス制度になって、帳簿の書き方は変わりましたか?

A. 国税庁のQ&A(問109)では、インボイス制度での帳簿の記載事項は、それより前(区分記載請求書等保存方式)の帳簿と同じとされています。相手の登録番号を書く必要もありません。

Q. 電車代は、いつでも帳簿だけで大丈夫ですか?

A. 帳簿だけでよいのは、税込3万円未満の公共交通機関の運賃です。3万円以上かどうかは、1回の取引の税込金額で判断します。また、帳簿には「3万円未満の鉄道料金」のように、特例に当たる旨を書く必要があります。

Q. 取引先の名前は、略して書いてもいいですか?

A. タックスアンサーNo.6497では、取引先名簿などで相手が特定できるなら、「鈴木商店」のような略称でもかまわないとされています。取引先コードでの表示も認められています(Q&A 問109)。

Q. 自分のケースがどれに当たるか分かりません。

A. どの特例が使えるかは、事業の規模や取引の内容によって変わります。この記事は、国税庁の公表内容をまとめたものです。自分のケースについては、国税庁のホームページで最新の情報を確認するか、税務署や税理士に相談してください。

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