電子帳簿保存法の対応|個人事業主がやること(電子取引データの保存・検索要件・猶予措置)

電子帳簿保存法の対応|個人事業主がやること(電子取引データの保存・検索要件・猶予措置) 請求書・会計
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イメージ写真:Studio.Stock

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更新日:2026-11-03

結論:メールやネットで受け取った請求書・領収書は「データのまま」ルールに沿って保存します

  • 請求書・領収書・契約書・見積書などを電子データで受け取ったり送ったりした場合、そのデータの電子保存が義務付けられています(国税庁パンフレット・令和6年11月)
  • 原則のルールは3つ:①改ざん防止の措置、②ディスプレイやプリンタ等の備付け、③「日付・金額・取引先」で検索できること
  • 前々年の売上高が5,000万円以下の個人事業者などは、税務調査でのダウンロードの求めに応じられるようにしていれば、③の検索要件は不要です
  • 対応が間に合わない場合の「猶予措置」もありますが、データそのものは消さずに保存する必要があります。迷ったら国税庁の情報を確認するか、税務署・税理士に相談しましょう

ひとことで言うと

電子帳簿保存法は、税金に関係する帳簿や書類を、電子データで保存するときのルールを決めた法律です。

個人事業主が必ず対応するのは「電子取引データの保存」です。帳簿の電子保存やスキャナ保存は、希望する人だけの制度です。

メールで届いたPDFの請求書などは、印刷して紙だけ残すのではなく、データのまま保存します。

この記事の信頼性

情報源
国税庁 電子帳簿等保存制度特設サイト、電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和8年7月)、国税庁パンフレット(令和6年11月・令和8年6月)、電子取引データ保存要件チェックシート(令和6年11月)
情報の確認日
2026-11-03
掲載方針
国税庁が公表している内容だけをまとめています。税金の個別の判断は扱いません

このサイトの調べ方と評価の基準

目次(12項目)
  1. 電子帳簿保存法の3つの制度
  2. 保存が必要な「電子取引データ」とは?
  3. 原則の保存ルールは3つ
  4. 検索要件が不要になる場合と、簡単な対応方法
  5. 対応が間に合わないときの「猶予措置」
  6. データの保存期間
  7. 帳簿の電子保存と青色申告特別控除
  8. 個人事業主がやることチェックリスト
  9. 会計ソフトを使うなら
  10. よくある質問(FAQ)
  11. 情報源
  12. 広告表示について

電子帳簿保存法の3つの制度

国税庁のパンフレット「電子帳簿等保存制度を活用して、デジタル化をさらに進めてみませんか?」(令和8年6月)では、電子帳簿等保存制度が次の3つに分けて案内されています。

制度 対象 ひとことで言うと
①電子帳簿等保存 希望者のみ パソコンで作った帳簿や書類を、データのまま保存する
②スキャナ保存 希望者のみ 紙で受け取った書類を、スキャンして画像で保存する
③電子取引データ保存 法人・個人事業者は対応が必要 電子データで受け取った・送った請求書などを、データで保存する

この表の見方:個人事業主がまず対応するのは③です。①と②は、使いたい人が選んで使う制度です。

言葉のメモ:

  • 電子取引:取引情報(注文書・契約書・送り状・領収書・見積書などに通常書かれる事項)のやり取りを、電子データで行う取引のことです(一問一答 問2)。
  • 国税関係書類:税法で保存が必要な、領収書・請求書・決算書などの書類のことです。

保存が必要な「電子取引データ」とは?

国税庁のパンフレット(令和6年11月)では、書面でやり取りしていたら保存が必要な書類(注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書など)に相当する電子データを受け取った、または送った場合に、そのデータの電子保存が義務付けられていると案内されています。

国税庁の「電子取引データ保存要件チェックシート」(令和6年11月)では、次のようなものがあれば電子取引に当たると例示されています。

よくある例 電子取引に当たる?
取引先からメール・EDI・クラウドなどで受け取った見積書・納品書・請求書 当たる
ECサイトで買った商品の請求書や領収書 当たる
インターネットでだけ確認できるクレジットカード・ネットバンキング・水道光熱費などの明細書 当たる
スマホアプリの決済で、アプリ提供事業者から受け取る利用明細 当たる(一問一答 問8)

この表の見方:保存が必要になるのは請求書だけではありません。一問一答の問2では、仕入以外の事業上の費用(水道光熱費や旅費交通費など)に関するものも保存範囲に含まれると案内されています。

電子取引データについて、一問一答に書かれている点:

  • 電子メールで受け取った場合、取引情報がメール本文に書かれていればそのメールを、添付ファイルで受け取った場合はその添付ファイルを保存します。取引情報が入っていないメールまで保存する必要はありません(問4・問6)。
  • ECサイトの購入情報ページで領収書データをいつでも確認できる状態なら、必ずしもダウンロードして保存しなくても差し支えないとされています。ただし、ECサイト側が保存の要件を満たしている場合に限られます(問45)。
  • 会社員が副業で行う講演・原稿執筆などの雑所得の業務でも、所得税法で現金預金取引等関係書類の保存義務がある人は、電子取引データの保存が必要とされています(問100)。

原則の保存ルールは3つ

国税庁のパンフレット(令和6年11月)では、原則的な電子取引データ保存のルールが次の3つとされています。

ルール やること
①改ざん防止のための措置 次のどれか1つ:タイムスタンプが付いたデータを受け取る/受け取ったデータにタイムスタンプを付ける/訂正・削除の履歴が残るシステム等で受け取り・保存する/改ざん防止のための事務処理規程を作って運用し、備え付ける
②ディスプレイやプリンタ等の備付け 保存したデータを確認するためのディスプレイやプリンタ等を用意する
③「日付・金額・取引先」で検索できること 加えて、「日付か金額の範囲指定検索・2つの要素を組み合わせた検索ができること」か「税務調査などでデータのダウンロードの求めに応じられること」のどちらか

この表の見方:①は4つの方法から1つ選べばよく、パンフレットでは「専用のシステムを導入しない方法もあります」として、事務処理規程の方法が紹介されています。どんな規程を作ればよいかは一問一答の問33で解説されていて、規程のサンプルは国税庁の「参考資料(各種規程等のサンプル)」からダウンロードできると案内されています(電子取引関係ページ)。

一問一答に書かれている、小さな事業者向けのポイント:

  • ディスプレイやプリンタの性能や台数は、要件とされていません(問20)。
  • パソコンやプリンタがなく、スマホだけで取引している場合も、検索機能の確保と事務処理規程の作成・運用などの対応が必要です。プリンタを常設していなくても、税務調査のときに近くの有料プリンタなどですぐ出力できれば、備え付けているものとして扱われます(問21)。

言葉のメモ:

  • タイムスタンプ:その時刻にデータがあり、それ以後に変更されていないことを証明する仕組みです。
  • 事務処理規程:「データを正当な理由なく訂正・削除しない」ためのルールを書いた社内規程のことです。

検索要件が不要になる場合と、簡単な対応方法

国税庁のパンフレット(令和6年11月)では、「基準期間(2年(期)前)の売上高が5,000万円以下の方」などは、データのダウンロードの求めに応じられるようにしていれば、③の検索要件を満たす必要はないと案内されています。

状況 検索要件(日付・金額・取引先で検索)
前々年の売上高が5,000万円以下で、ダウンロードの求めに応じられるようにしている 不要
データを出力した書面を、日付と取引先ごとに整理して提示・提出できるようにし、ダウンロードの求めにも応じられるようにしている 不要
上のどちらにも当てはまらない 必要

この表の見方:一問一答の問21では、個人事業者の場合、電子取引を行った日の属する年の「前々年の1月1日から12月31日まで」の売上高で判断すると案内されています。検索要件が不要な場合も、①改ざん防止と②ディスプレイ等の備付けは必要です。

検索要件が必要な場合でも、パンフレット(令和6年11月)と一問一答の問19では、専用ソフトを使わない次の方法が紹介されています。

  1. 方法1 ファイル名

    データのファイル名を「日付_金額_取引先」のように規則性をもって付け、特定のフォルダにまとめる(例:「20240331_110000_(株)霞商店」)

  2. 方法2 索引簿

    表計算ソフトで「連番・日付・金額・取引先」の一覧(索引簿)を作り、データのファイル名に連番を付けて管理する

  3. あわせて

    改ざん防止のための事務処理規程を作って備え付け、そのとおりに運用する

国税庁の一問一答の問19では、索引簿のサンプルもダウンロードできると案内されています。

対応が間に合わないときの「猶予措置」

国税庁のパンフレット(令和6年11月)では、原則のルールへの対応が間に合わない場合でも、次の(1)と(2)の両方を満たせば、電子取引データを保存しておくだけで大丈夫とされています。

条件 内容
(1) 原則のルールに従って保存できなかったことについて、所轄税務署長が相当の理由があると認める場合
(2) 税務調査のときに、「データのダウンロードの求め」と「データをプリントアウトした書面の提示・提出の求め」の両方に応じられるようにしている場合

この表の見方:(1)について、事前の届出は不要で、「人手不足」「システム整備の資金不足」「システム整備が間に合わない」なども相当の理由として認められると案内されています。

猶予措置について、一問一答に書かれている注意点:

  • 令和5年12月31日までの電子取引には、印刷した書面だけを保存する方法も認められていましたが(宥恕措置)、この措置は廃止されています。令和6年1月以後の電子取引では、書面だけの保存では対応できず、データそのものも保存しておく必要があります(問89・問93)。
  • システムやワークフローが整っていて要件どおり保存できるのに、資金繰りや人手不足などの理由もなく要件どおりに保存していない場合は、猶予措置は受けられません(問93)。
  • 令和6年1月1日以後の電子取引のデータを、書面に出力して保存することで、データの保存に代えることはできません。やむを得ない事情や相当の理由がなく要件どおりに保存していない場合は、青色申告の承認の取消対象となり得るとされています(問98)。

なお、要件どおりにデータを保存したうえで、経理の便宜のために書面にも印刷してほかの書類と一緒に整理することは問題ないとされています(問31)。

データの保存期間

国税庁の一問一答の問17では、電子取引データも、所得税法などで決められた期間保存する必要があるとされています。個人事業者の場合は次のとおりです。

区分 保存が必要なもの 保存期間
青色申告者 帳簿・決算関係書類 7年
青色申告者 現金預金取引等関係書類(領収証など) 7年(前々年分の事業所得と不動産所得の金額が300万円以下の人は5年)
青色申告者 上記以外の書類(請求書・見積書・契約書・納品書・送り状など) 5年
白色申告者 法定帳簿 7年
白色申告者 任意帳簿・棚卸表など・請求書や領収書などの書類 5年

この表の見方:書類の保存期間は、作成または受け取った日の属する年の翌年3月15日の翌日から数えます。消費税の課税事業者が仕入税額控除のために保存する請求書等や、インボイス発行事業者として交付したインボイスの写しなどは、7年間の保存が必要です(問17)。

インボイスの登録をしている人は、帳簿の書き方も確認しておきましょう。インボイス制度の帳簿の書き方で解説しています。

帳簿の電子保存と青色申告特別控除

①電子帳簿等保存は希望者だけの制度ですが、「優良な電子帳簿」の要件を満たすと、税制上の優遇措置があります。

優遇措置 国税庁の案内
青色申告特別控除65万円 仕訳帳と総勘定元帳を優良な電子帳簿で保存し、届出書を出すことが、e-Taxでの申告と並ぶ条件の1つ(タックスアンサーNo.2072)
青色申告特別控除75万円 令和9年分以後の所得税に適用。「優良な電子帳簿」か「デジタルシームレス保存」のどちらかの要件を満たしたうえで、電子申告が必要(パンフレット・令和8年6月)
過少申告加算税の5%軽減 優良な電子帳簿に関連する過少申告があった場合、過少申告加算税の割合が原則10%から5%に軽減(パンフレット・令和8年6月)

この表の見方:どれも、あらかじめ届出書の提出が必要です。パンフレット(令和8年6月)では、個人事業者が令和8年分から優良な電子帳簿やデジタルシームレス保存の優遇措置を受けたい場合は、令和9年3月15日までに届出書を出す必要があると案内されています。

パンフレット(令和8年6月)に書かれている、そのほかの点:

  • すでに優良な電子帳簿で65万円の控除を受けている場合は、改めて届出書を出さなくても75万円の控除が受けられるとされています。
  • 75万円の控除を受ける場合は、所得税の青色申告承認申請の手続も必要です。

65万円控除の条件は、青色申告の65万円控除の条件にまとめています。

言葉のメモ:

  • 優良な電子帳簿:訂正・削除の履歴が残るシステムを使うなど、一定の要件を満たした電子帳簿のことです。
  • デジタルシームレス保存:パンフレットでは「請求書等の電子取引データを自動で保存し、帳簿に自動連携する仕組み」と説明されています。

個人事業主がやることチェックリスト

電子取引データ保存の対応の流れ
  1. 1洗い出しメール・ECサイト・クラウド・カード明細など、データで受け取る(送る)請求書や領収書を確認する
  2. 2保存場所パソコンやクラウドなど、保存する場所を決める
  3. 3改ざん防止事務処理規程を作って備え付けるなど、4つの方法から1つを選ぶ
  4. 4検索ファイル名のルールか索引簿で検索できるようにする(前々年の売上高が5,000万円以下なら、ダウンロードの求めに応じられれば不要)
  5. 5続けるデータを消さずに、決められた期間保存する

会計ソフトを使うなら

電子取引データの保存や帳簿づけは、この記事で紹介した方法で手作業でも対応できます。会計ソフトを使う方法もあります。料金・機能は各公式サイトで確認してください。

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マネーフォワード クラウド確定申告(個人向け)公式サイトへ(PR)

2つのサービスの比べ方は、freeeとマネーフォワードの比較にまとめています。国税庁の一問一答(問86・問87)では、使っているソフトが要件を満たしているか分からない場合の確認方法や、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証についても案内されています。

よくある質問(FAQ)

Q. メールで届いたPDFの請求書は、印刷して保存すればいいですか?

A. 令和6年1月1日以後の電子取引では、印刷した書面の保存で、データの保存に代えることはできません(一問一答 問98)。データを要件に沿って保存したうえで、便宜のために印刷して整理することは問題ないとされています(問31)。

Q. 専用のソフトがないと対応できませんか?

A. 国税庁の一問一答の問19では、特別な保存ソフトを使っていない個人事業主の例として、ファイル名のルール付け、フォルダでの整理、事務処理規程の備付けと運用で要件を満たせる方法が紹介されています。

Q. 猶予措置を使うには、税務署への申請が必要ですか?

A. 国税庁のパンフレット(令和6年11月)と一問一答の問93では、事前の届出や申請は不要とされています。ただし、データそのものを保存し、税務調査のときにダウンロードの求めと印刷した書面の提示・提出の求めに応じられるようにしておく必要があります。

Q. 自分の対応で足りているか分かりません。

A. 取引の方法や使っているシステムによって、必要な対応は変わります。この記事は、国税庁の公表内容をまとめたものです。国税庁の「電子帳簿等保存制度特設サイト」で最新の情報を確認するか、税務署や税理士に相談してください。制度の一般的な相談は、国税局の電話相談センターでも受け付けていると案内されています。

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